好きこそものの上手なれ
没頭できるものを探す
山形で初めて津軽三味線のレコードを聴いてから横浜へ戻って早速に電話帳で三味線を教えてくれる先生を探した。先ず琴や三味線を販売している和楽器店に尋ね、店主からある若い先生を紹介してもらう。1番最初に習ったのは宮城県の民謡で斎太郎節と言う一般的な民謡だった。最初から難しいじょんから節などは弾けるわけもないので先ずは簡単な指遣いのいわゆる平ものと言う曲からスタートした。
好きこそ物の上手なれという言葉がある。この諺は誰でも好きなことは一生懸命になり上手になるという意味だ。この言葉が意味する通り三味線をやり始めてからは仕事から帰宅しても毎日3時間は練習をした。当時家族で大手スーパーマーケットに買い物に行った時でも自分は車の中に三味線を持ち込んで家族が買い物をしているあいだ練習をしていた。また家の2階の部屋の箪笥(たんす)に背中を寄りかけて練習に没頭していると奥さんに肩を叩かれただけで飛び上がるほどびっくりした。
つまり人の気配に気づかぬほど演奏に没頭していたのだ。自分にとって好きなことと言うのはこれほど熱中するものである。だから自然と演奏のテクニックも上達してそのうち師匠と一緒に舞台を歩く様になる。結論、夢中になれるものを探せ!
耳の悪い人は歌も楽器も上手になれない
以前にギターをやっていたせいもあって音感のほうは悪くはなかった。ギターでも三味線でも演奏を始める前に調弦をしなければならない。微妙な音の違いを聞き分けられないと正確な調整ができない。だから音感が悪い音痴な人は楽器でも歌でも上手くはなれないのだ。音感には絶対音感と相対音感とがある。絶対音感とはドアのノックをする音が「レ」の音だと分ったり相対音感とは二つの音が同時に聞こえた時にどちらの音が高いかとか基準の音名を言い当てるスキルの事だ。幼少の頃からピアノをやっているとこういった音感を鍛える事が出来る。自分もピアノを弾くようなそんな家庭に生まれていたなら人生も変わっていたかも知れない。